「入ってたのは事実だ」と製造段階ではありえない異物の混入を主張する客に思うこと

「この漬物、味がおかしいのですが・・・」

勤め先の食品スーパーでは扱う商品の品数が多いため、様々な商品についてのクレームが入ります。例えばこのようなクレームがありました。

「昨日買ったこの漬物、味がおかしいのですが?」

とお客様から言われ、まずは「大変申し訳ございません」とご気分を悪くされたことについて謝罪し、「どのようにおかしかったのか教えていただけますか?」と聞くと・・・

「塩分が足りないんじゃないか?」と言われ、早速メーカーにその問題の商品を送り、調査してもらったところ、既定の範囲内で商品には問題はなかったということがありました。

しかし、お客様にストレートに、「味がおかしいと思われたのは勘違いですよ」とは当然言えることではなく、お客様が気を悪くされないように言葉を選び、今後も変わらぬご愛顧をいただけるように話をしました。

いつもと味が違うというお客様から申し出があることは意外と多くあり、また調査すると問題がなかったということも多くあります。しかし・・・

「私が言ってるんだから間違いない」

「私が言っているんだから間違いない」となかなか納得をされないことも、ごく稀ですがあります。

「味がおかしい」「おいしくない」というものなら個人の主観によるものでまだ納得に至りやすいのですが、難しいのは異物混入を主張されるケースです。

「入っていたのは間違いない」と言われるのですが、メーカーの調査によって混入はありえないと判断された時に大変気を悪くされることがあります。

今回はそんなお客様に向き合った私の経験談をご紹介します。

「レトルトシチューにこんなのが入ってたぞ」

「申し訳ございません。メーカーに連絡して、ご連絡させてもらいます」

「わしは理由を聞きたいだけだから連絡はいらん。1週間後にくるから」

メーカーに連絡すると「それを着払いで送ってください」

しばらくしてから、メーカーから調査報告書が届いた

レトルトパウチ後の高温殺菌をするとその異物はとけて形がなくなるそうだ。

つまり製造段階での混入の可能性は極めて低いということだった。

ありとあらゆる混入の可能性をメーカーは検証したが結局は原因は解明できなかったそうだ。

「申し訳ございません。このような報告書がきまして

説明した後「「こちらがその報告書でして・・・」

「いらん、あんたのその説明で十分に分かった」

「そんな報告書を出すメーカーだったらどうせ金にものを言わせて優秀な弁護士をやとってくるだろな」

「つまり、わしらのような貧乏人は黙って泣いとけということだ」

「でもな、貧乏人には貧乏人の戦いがあるんだよ」

「ネットに書き込むからな」

別にあんたに怒っても仕方がないことだから、貧乏人には貧乏人の戦いがあるんだよ」

ツッコミ所満載でしたが、君子危うきにちかよらずです・

いかがでしたでしょうか?いろいろとツッコミ所のある話だと思います。特に多くの方はこう思われるでしょう。

入っていたのは事実だとしても、お客様のところで入った可能性はないのか

という疑問です。もちろんわざとではなく無意識に入ったことは考えられないのか?と言うことです。

異物はビニールの切れ端のようなものでした。メーカーは製造上でのあらゆる可能性を調査しました。

しかし、外部からそういったものを持ち込まれる可能性は極めて低く、万が一商品に混入したとしても、レトルトパウチ後の高温殺菌の時に形はほとんどなくなるという結果が出ました。

しかし、「もしかして知らず知らずにお客様の家で入ったということはないですか?」とは口が裂けても言えない問題です。

そんな時に店員が求められるスキルとは?

どこに非があるのか?とても気になるところですが製造段階での混入の可能性がないと調査結果が出た時点で、それ以上を追及することは出来ません。

それ以上というのは、お客様のところでの混入の可能性です。それが調査できない以上、混入の原因に至りませんでしたと言うことになります。

ここで大事なことは疑いの目を向けないことです。

疑いの目をお客様は敏感に察知し、二重クレーム(対応した従業員の態度に対するクレーム)に発展する恐れがあるからです。

実際にかつて私はミンチ肉が真っ黒になったというお客様に疑いの目を向け、二重クレームに発展させた経験があります。

なので、「入ってたのは事実だ」という主張には否定でも肯定でもない、原因追及というお客様の要望にお応えできなかったというお申し訳ない気持ちを出すことが必要でしょう。

接客業では、時にツッコミを入れたくなるお客様に出くわすこともあります。

安易に否定もできず肯定もできない悩みを持つ人も多いでしょう。そんな時にはお客様の困っている気持ちに寄り添い、申し訳ない気持ちを前面に出すことが無難な対応ではないかと長年の接客の経験から私は思います。

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